修了生インタビューFashion Design Course Alumni Interview

中田 優也

POSTELEGANT

クリエイティブディレクター

中田 優也

ファッションデザインコース 第6期生

PROFILE

名古屋学芸大学の在学中にパリへ1年留学。
2011年に同大卒業後、文化ファッション大学院大学 (BFGU)入学。
2013年に首席で修了後、株式会社オンワード樫山を経て、2017年よりPOSTELEGANT(ポステレガント)立ち上げ。

デザイナーひとりで完結せずに チームの相乗効果でつくる

ゆくゆくは自分のブランドを立ち上げたいと思い描き、大学ではファッション造形学を専攻。在学中に留学したメゾン発祥の地・パリでは、立体裁断を学びました。
卒業後は、パリに戻って経験を積みたいとも思いましたが、現地のインターン先であるLUTZで活躍する先輩に、「日本で一度働いてから戻ってきたほうがいい」とアドバイスをもらったんです。きめ細かな日本企業の手法をひととおり学ぶことが、海外でも強みになる、と。
日本に残ることを決めて思い返したのは、LUTZのアトリエでの光景です。デザイナーだけで完結するのではなく、技術をもつチームとつくる関係性が理想的で。チームで相乗効果を生むためにも、就職前にまずは自分の表現と向き合う時間をもとうとBFGUへ入学を決めました。

とことん自分を掘り下げて 最後に残ったもの

当時の授業で印象的だったのは、先生に毎回「何か新しいものを出しなさい」と言われたこと。課題を提出すると、愛のムチで「これはもう10年前に見ました」とバッサリ批評を受けることも(笑)。「新しいとは?」と自問自答を繰り返すうちに、やっぱり苦しくなるときもあるんです。でもその過程で、学内に豊富に揃う設備を組み合わせ、何通りものプロセスを試していくと、自分が毎日着たいと思えるのは、「心地いい素材を起点につくったときだな」とわかってきました。義務感で無理に生み出すよりも、自分の意志を貫いて生まれたもののほうが何倍もパワーがあるし、他の人にも「いいね」と言ってもらえて。今のブランド構築につながる、ものづくりの根本に気づくための2年間だった気がします。

修了後は、オンワード樫山に就職してBEIGE,というブランドを担当。1年目から、様々な職種の方々の間に入って幅広い実務をこなせたのは、BFGUのカリキュラムで他コースの人たちと共同制作した経験が活きたと感じます。企画や戦略会議にも参加できる環境で、気づいたことはどんどん提案するようにしていましたね。
大手での密度の濃い2年半を経て、自身のブランドであるP OSTELEGANTを立ち上げ。以来、「いかに売れるか」よりも「自分が本当にいいと信じてつくれるか」を追求しています。もちろん経営者でもあるので、ビジネスとして数字を見る必要はありますが、お金のやりとりだけでなく、着る人の気持ちが上がるかどうかが第一。つくる側がまずそのモチベーションを持っていないと、人の心は動かせません。

デザイナーとして目指すのは、「気づいたら、10年、20年着ていた」というお客さまを何人増やせるか。それには素材の質感や強度が求められます。日本には世界トップレベルの職人さんがいて、その方々と技法を探し、生地を開発するところから一緒につくってきました。応援してくださる皆さんに恩返しできるよう、世界中で長く愛されるブランドを育てていきたいです。

MESSAGE

BFGUは、出身地も年齢も価値観も本当に多様。優秀な人がたくさんいて、入学当初は焦りつつ、だからこそ必死にしがみついて頑張れました。今の時代、SNSが普及してブランド立ち上げは手軽な印象もあるかもしれませんが、自らデザイナーとなって発信していくには、どんな思いで何を伝えたいのか、自分の軸が不可欠だと感じます。それは、「やってみたけど違った」「失敗した」という試行錯誤がないと見つからない、時間がかかるもの。僕自身、BFGU時代に参加した産地の機屋さんと組む産学コンテストなど、様々な挑戦が「素材からデザイン発想する」プロセスにたどり着くヒントになりました。存分に自分を掘り下げられる環境で、進む道を見つけてください。