
「fale」
ファウンダー/クリエイティブディレクター
awai
ファッションデザインコース 第7期生
PROFILE
2012年、文化ファッション大学院大学 (BFGU)入学。2014年修了。ファッションブランドや VTuberへの XRを中心としたデザインとエンジニアリングを提供する事業を開始。2021年7月より ファッションブランド「fale」を展開。
仕事内容について
faleのコンセプトは「dividual」。"何者かになる" ためでなく、"自分でいる"ための装いのデザインを行い、フィジカル(Physical)、デジタル(Digital)、バーチャル(Virtual)を越境して活動することで、様々な人が自身の装いやあり方を選択できる状態を目指しています。僕はデザインのほか、クリエイティブやテクニカルのディレクションなどを担当。キャラクターデザイナーやエンジニアなど、5人のコアメンバーとともに活動しています。
僕はファッションデザイナーとしては異端かもしれませんが、ファッションクリエイションという領域を服づくりだけに限定せず、物理的な世界とデジタル世界、さらには物語の世界の境界を曖昧にしていくようなブランドとして、装いや人間像のデザインを提案していきたいと思っています。
現実と仮想を結び、ファッションの領域を広げていく
文化服装学院に在籍していましたが、ファッションデザインを学ぶうち、自分にしかできないものづくりを追求したいと思うようになりました。このように考え始めたきっかけに、僕がずっと尊敬してきたブランドの存在があります。時代の先端を行くだけでなく、常に斬新なファッションのあり方を提示し、ときには常識を覆すようなクリエイションにあこがれて僕もファッションの世界を志したこともあり、自分も新しい価値観を提示できるものをつくらなければならないという思いがありました。
BFGUへの入学を決めたのは、自分の制作に集中したかったからです。実は当時、海外留学も考えていたのですが、BFGUの設備の充実度が群を抜いていたことも決め手になりました。自分がやりたいことやつくりたいものに対して、試行錯誤しながらチャレンジできる環境に魅力を感じました。
僕はもともとファッションのほかに、ポップカルチャーやテクノロジーにも親しんできたのですが、BFGU在学中は自分の指向や触れてきたコンテンツをいかにファッションに落とし込んでいくかということを、かなり意識していました。それらを融合させたことで、faleの世界観や自分だからこそできるのものづくりにもつながっていると思っています。
それともう一つ、考えていたことがあります。それは、ファッションをビジネスとして成立させること。そのための仕組みづくりにも興味を持っていました。世界トップクラスのクリエイションができても、ビジネスとのバランスが取れていなければ、いずれ立ち行かなくなってしまうからです。今もそうですが、いかに新しいスキームをつくるかといったことを考え続けていました。それにはチームビルディングも必要だと思っています。自分一人だけでなく、ほかの人と協力しながら作品や世界観をつくり上げていくという制作スタイルを学生時代に経験できたことは、今に役立っています。
MESSAGE
アパレル業界でもテクノロジーは進化していますから、学生のうちにCADやニットCADに触れておくことは必須だと思っています。それから、ファッションを勉強しようと思うと、先人たちのクリエイションや最新のコレクションを見たりすると思うのですが、それだけだと、どうしても越えられない壁があるのではないかと感じています。
ファッションデザイナーは大勢いて、服は次々につくられている一方、たくさんの服が廃棄されているという現実があります。こうした時代に服づくりを行っていくことは、自分のエゴのようにも感じるのです。僕自身、服が好きだからこそ、ファッションに携わっていく意味を考え続けていきたいと思っています。