2014年度

2014年度ファッション経営管理コース修了研究Completed research

 

中国百貨店におけるプライベートブランドの開発
~新規ブランド「IN.TIME」の事業計画~

現在、ラグジュアリーブランドやファストファッションのような極端な価格帯のアパレルブランドは中国のファッション市場で大人気であるが、両者の間にある中間価格帯のブランドは認知度が低く、特に中国本土のブランドは競争力が弱い。百貨店は中間価格帯のブランドを集めて経営している業態であるが、現在は急成長しているショッピングセンターやネットショップ等との競争が激化している。特に長期にわたり「聯営制」という売場貸出のような形態で経営している中国百貨店にとって、もし中間価格帯の市場を対象とした新たなビジネスモデルを出せれば、利益率も競争力も高まるものと思われる。本事業計画では、中国の銀泰百貨を事業主体とし、22歳から35歳までのOLをターゲットにし、品質が良く、デザイン性・着回しの自由度が高く、中間価格帯で展開する新規アパレル事業(プライベートブランド)を提案した。

 

中国アパレルOEM工場の発展戦略の研究 ~今後3-5年の展望~

中国のアパレル産業はOEMを中心に発展し、現在、世界最大のアパレル生産・輸出国となっている。しかし、近年、国内生産コストの高騰、そして、海外アパレルOEM工場との競合のため、中国アパレルOEM工場は厳しい状況を迎えている。この状況を改善するため、中国アパレルOEM工場は新たな発展を模索しなければならない。そこで、本研究は、中国アパレルOEM工場の発展戦略を研究テーマとした。第1章では、研究の背景・目的・方法、そして、研究の流れを述べた。第2~5章では、中国アパレルOEM工場発展の歴史をはじめ、工場生産の特徴を明らかにするとともに、中国アパレルOEM業界の外部環境と内部環境の分析を行った。この分析に基づき、中国アパレルのOEM工場の問題点を整理するとともに、中国生産における商品の価値と総合コストのバランスを検討した。第6~7章では、事例研究として、幾つかの中国アパレルOEM工場の発展パターンを取り上げ、そのメリットとデメリットを分析するとともに、今後の発展パターンの展望を行った。第8章の結論では、工場規模別に中国アパレルOEM工場の発展戦略を提案した。

 

大きいサイズの靴を取り扱うネットショップの事業計画書
~台湾からグローバル市場へ~

この数年、インターネット環境はさらに整備され、同時にスマートフォンなどのモバイル機器の普及も急速に進んだ。その結果、現在の消費者にとってオンラインショッピングは、もはや日常的な行為となった。ネットショップの起業においても、より速く、より安い出店方式の登場により、オンラインショップの数は急激に増えている。その競争下で注目を集めるためには、商品の差別化を図ることが必須の条件となる。

今回の研究では自身の起業計画を中心に据え、その拠点となる台湾のオンラインショッピングの現状分析及び現在の台湾の消費者の志向を、より正確に掴むためのインタビューを実施した。次に現行のネットショップの事例研究を行い、自分の起業に欠かせない要素について検討して、自分なりの発想から、新事業計画書を構築する。

 

デザイナーズブランドのブランド・コミットメント戦略

本研究は、ブランド・ロイヤルティ(反復購買行動)とブランド・コミットメント(ブランドに対する心理状態)の関係を明らかにし、デザイナーズブランドのロイヤルティ強化・維持の戦略を考える上で役立つ知見の獲得を目的とした。第1章で、近年のファッション業界動向と、コミットメント研究動向を整理し、第2章でコミットメント概念について、感情的コミットメント、計算的コミットメント、購買行動類型(ベストブランド固定型、ベストブランド流動型、慣性型、バラエティ・シーキング型)の特徴を整理し、第3章で(株)イッセイミヤケと(株)コム デ ギャルソンの顧客インタビュー調査にて、両企業のブランド・ロイヤルティ構築要素の考察を行った。第4章では、ロイヤルティとコミットメントの関係の仮説を立て、顧客アンケートデータを用いて因子分析を行った。第5章では、分析結果からデザイナーズブランドのロイヤルティ強化・維持に有効と考えられるふたつの重要な示唆を得た。それは、当該ブランドが(1)プロダクト開発を得意とする場合、顧客の計算的コミットメント(惰性的態度)を高くする、(2)ブランド哲学の伝達を得意とする場合、感情的コミットメント(愛着的態度)を高くする、ということである。

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